★★★★☆
「日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す」橋爪大三郎著をよんでみた。
腰巻によると橋爪大三郎さんは宗教社会学の第一人者とあります。
橋爪大三郎さんは大澤 真幸さんとの新書の対談本「不思議なキリスト教」で、キリスト教の信者さんたちの間で大騒ぎになった著者です。その新書をAmazonで調べてみたら、まだ販売はしているようです。発行日が2011/5/18ですから、今から10年以上前の騒動でした。キリスト教の信者さんたちから反論本も出版されていました。
序 カルト原論
第1部 生長の家から日本会議へ
第2部 統一教会と自由民主党
結 政教分離と民主主義
「序のカルト原論」は あとがきによると服部美咲さんのインタヴュー原稿(https://synodos.jp/opinion/society/28348/)がもとになっているようです。
まず初めにカルトの説明があり、次にキリスト教、仏教系、神道系の宗教がどのようにしてカルト化をしてゆくのかが説明されている。その次に統一教会が日本で浸透した理由を簡単にのべて、政教分離の話が書かれています。50ページ程度ですが、わかりやすかったです。
生長の家創始者の谷口雅春さんは、早稲田大学の英文科で学んだことがあり、英語の読み書きが堪能だった。そのためかバキューム・オイル。カンパニーで広告の翻訳の仕事をしていた。19世紀末のアメリカで流行ったニューソートに影響を受けたようです。英語の読み書きができたので、当時まだ日本に紹介されていないアメリカの宗教関係の書籍に触れる機会が多かったのでしょう。ニューソートは、アメリカで生まれた「様々な宗教を認め、尊重し、それを包み込むより上位の原理を学びと修養によって身につける」(P83)という考え方です。
生長の家は、戦前戦中は国家神道の天皇絶対論を掲げ、敗戦後は日本国憲法を改憲するのではなく、明治憲法の戻す復憲論を掲げていた。戦後に谷口雅春さんが引退すると、生長の家は政治活動から手を引きます。残された生長の家の政治部門が時を経て日本会議になったようです。自由民主党も現行憲法は良くないと考えている。日本会議はその自由民主党と関係を強めていったようです。
私は、生長の家やその後に出来た日本会議のことは菅野完さんYouTube動画で簡単に触れた程度の知識しかなかったので第1部は大変に参考になった。
「第2部 統一教会と自由民主党」は文鮮明さんの簡単な生い立ちが紹介され、その後に「原理講論」にのって、その教義を一般的なキリスト教と対比する形で説明している。簡素に記述されていてわかりやすかったです。
統一教会と言えば、霊感商法を含む集金です。地元韓国やアメリカで失敗した霊感商法がなぜ日本で成功した理由が記述されている。まあ、一般的なキリスト教に対する知識が全くないので簡単に、統一教会に引っかかったということらしい。
また統一教会と自由民主党との関係はどうなのか。「自民党の政治家は現実的なつもりでいる。統一教会の語るストーリーを、ただの宗教的な妄想さと、かるく聞き流す。それに耳を傾けるふりをして、選挙に勝てばよい。」(P284)と考えている。統一教会側に思惑は、「第一に統一教会を守るため。」「第二に政治的主張を訴えるため」「第三に地上に神の王国を実現させる準備のため。(P281-283)だという。橋爪大三郎さんは、第三の理由を甘く考えない方がよいと訴えている。
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