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2023年5月6日土曜日

「世界インフレの謎」渡辺努 講談社現代新書

 

                                                           ★★★★★ 

 20233月にアメリカのシリコンバレー銀行、シグニチャーバンクが経営破綻した。世界経済は大変なことになっているようです。

そこで「世界インフレの謎」 渡辺努 講談社現代新書  900円 を読んだ。

 

目次

第1章 なぜ世界はインフレになったのか――大きな誤解と2つの謎

世界インフレの逆襲/インフレの原因は戦争ではない/真犯人はパンデミック?/より大きな、深刻な謎/変化しつつある経済のメカニズム

第2章 ウイルスはいかにして世界経済と経済学者を翻弄したか

人災と天災/何が経済被害を生み出すのか――経済学者が読み違えたもの/情報と恐怖――世界に伝播したもの/そしてインフレがやってきた

第3章 「後遺症」としての世界インフレ

世界は変わりつつある/中央銀行はいかにしてインフレを制御できるようになったか/見落とされていたファクター/「サービス経済化」トレンドの反転――消費者の行動変容/もう職場へは戻らない――労働者の行動変容/脱グローバル化――企業の行動変容/「3つの後遺症」がもたらす「新たな価格体系」への移行

第4章 日本だけが苦しむ「2つの病」――デフレという慢性病と急性インフレ

取り残された日本/デフレという「慢性病」/なぜデフレは日本に根づいてしまったのか/変化の兆しと2つのシナリオ/コラム:「安いニッポン」現象

第5章 世界はインフレとどう闘うのか

米欧の中央銀行が直面する矛盾と限界/賃金・物価スパイラルへの懸念と「賃金凍結」/日本版賃金・物価スパイラル 116

参考文献

図表出典一覧

 

 本書は20221020日第一印発行です。20233月のシリコンバレー銀行経営破綻の前に書かれています。

 書名は「世界インフレの謎」であって「世界インフレ」でなないのです。つまり今回のインフレは、これまでの世界が経験してきたインフレとは違うのです。本書は、その謎のついての解説と、そのインフレの原因の仮説のです。

 日本の状況を見ると、ガソリンや都市ガスは供給企業の側に政府の補助が入っているので見えにくいですが、明らかに物価は上昇しています。電力価格も電力会社に対して政府の補助が入るとの報道があります。その補助金をもらう電力会社が、価格カルテルを結んで、値下げ競争を避けていたという話もありますがね。

 アメリカの銀行が経営破綻したので、今回のインフレについて知りたいと思い本書を読んだ。

  日本でもガソリン、食料品等の値段が上がっています。世界経済はインフレに見舞われています。本書は、そのインフレの原因は、これまで世界が経験したことのない種類のものだといいます。

まず今回のインフレの原因は、ロシアとウクライナの戦争ではなく、新型コロナウイルスによるパンデミックだといいます。そのパンデミックによって、人々の行動が世界的規模で一斉に同じように変わったことが原因だといいます。つまり、世界の人々がコロナウイルス感染症への恐怖心による行動変容が起こった事が、今回の世界インフレの原因だというのです。

各国の中央銀行は、これまで経験した需要が強すぎる事が原因のインフレには、金利を上げる事で対応してきました。これまで世界が経験してきたインフレの原因は強すぎる需要が主な原因だったからです。しかし今回のインフレの原因は、コロナウイルス感染症パンデミックによって、人々の行動が変わったことが原因の供給不足なのです。「生産を支えるのは「資本」「労働」「技術」という三つの要素です。」(p26)パンデミックの前後で「資本」と「技術」は変わりませんでした。工場が壊れる、蓄積してきた技術が失われることはありませんでした。変わったのは、労働者や消費者の行動だったのです。リモートでの仕事に慣れた労働者が工場やオフィスに戻ること拒むということが起き、消費者も生活様式が変わり消費が集中する品目では生産が追い付かず価格が上昇しました。この変化が世界規模で同時に起こったのです。

 

今回のインフレは、これまで主な原因だった、需給過剰ではなく、供給不足が原因だといいます。

これまでの需要過剰で起きるインフレには、金利を上げることによって対処してきました。「するとたとえば、これまで連動して動く住宅ローン金利が高くなり、住宅購入者が組めるローンの額が金利上昇前より小さくなります。その結果、住宅購入が減少して、家とそれに付随する家具や家電のどの売り上げも減ります。これで強すぎる需要が多少なりとも抑えられ、インフレ率も下がります。」(p42)しかし需要過剰ではなく、供給が足りないことが原因のインフレに金利を上げて対処すると「利上げすれば住宅などに対する需要が減少します。この利上げを繰り返し行えば、少なすぎる供給とちょうど見合うところまで需要を落とすことができ、それによって需要と供給のアンバランスアンバランスと解消できます。」(p43)これは、「よく考えるとこれは縮小均衡にむかいということにほかならず、決して歓迎される話ではありません。」(p43)

 

世界の経済情勢と日本の経済状況が詳しくかつ分かりやすく解説されています。日本の、賃金が上がらない等の経済の特殊性もよくわかります。






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